土佐くろしお鉄道を考える(非常に厳しい言い方ですが)

 今年のゴールデンウィークに、2度目の四国一周をしました(既報”クローバー・アイランド”の通り)。その際、かつての土讃線の終点、中村から更に先、現在の終点宿毛に行きました。そして、到着して、「やっぱ、あかん!」と思いました。



 平成17年秋、岡山発宿毛行き特急”南風”が終点宿毛でオーバーランし、車止めに衝突、さらに駅舎に激突して停止するという大惨事が起きました。運転士は死亡、その他の乗客乗員十数名全員も何らかの形で負傷するという大事故でした。宿毛駅はそれから1年近く営業を休止し、事故車両の撤去、そして駅舎の修復を行い、営業を再開しました。同事故で特急3両編成のうち、先頭の2008、2両目の2218は破損が酷く廃車されたといいます。実は在りし日の2008の写真も無いわけではありませんが、本題ではないので掲載は止めました(キッズクラブではありませんから)。



 今年のゴールデンウィークの訪問は、修復後の訪問でした。最初に気付いたのは、かつては殆ど宿毛まで直通していた特急が、殆ど中村打ち切りになっていたこと。つまり宿毛に行くためには、中村で乗り換えが必要なのです。そして宿毛に到着、修復後の宿毛駅を見ました。外観はともかく、線路終端は事故前の従前とほぼ同じでした。



 同じ終端でも、JR四国の高松駅では、事故の教訓か、終端手前数メートルから砂利を盛っています。トレインキャッチャーを設置せず、しかし空間的余裕がある場合にはこれでオーバーラン事故は防げる、とまではいかなくても規模を小さくできます。なぜJR四国はこんなことをしたのでしょう。



 刑法211条には、「業務上過失致死傷罪」という規定があります。「業務」(世間の定義とは少し違いますが)における過失が元で人を致死傷させた場合、この罪に問われます。この罪で重要視されるのは、「予見可能性」という言葉です。交通事故のあった交差点に直ちに信号を取り付けたりするのは、「以前に事故があった」ことによって、その後事故が再発することは予見できるはずだ、とされるからです。だから一度事故があった場所では、直ちにその後事故が起きないようにするための最大限の予防措置をとらなければ、再び事故が起きた際非常に重い罪に問われるのです。だから関係ないような高松などの駅ででも、この罪に問われないためにJR四国は対策をとったのです。



 然るに土佐くろしお鉄道では、奈半利どころか事故の起きた宿毛でさえ、修復以外ほぼ何も対策をとっていないのです。確かに修復後、全特急も一旦2駅手前の平田に停車としましたが、正直いってこれだけでは不十分です。現状でもしまた宿毛駅で何らかの事故が起きれば、土佐くろしお鉄道の幹部の大半と、JR四国の関連の責任者は、少なくとも逮捕、下手すれば実刑、という話になるでしょう。判決文はこんな文句を並べるでしょう、「先回の事故で、事故再発は十分予見できるところ、とりたてて対策をとらず漫然とこれを放置し、・・・」と。私の言うことに疑問を感じるなら、別に法律の専門家や弁護士に聞いてもらえば良いですが、きっと同じ事を言うでしょう。



 確かに先回の事故に対し、土佐くろしお鉄道にも言い分が山ほどあるというのは、私も解っています。しかし、如何なる理由によっても、起きてしまったことは取り消しできません。まして現状のまま放置すれば、もっと重大な責任を問われることになるのです。それが怖いので、JR四国も運転を縮小をせざるを得ないのです。このままでは全列車中村打ち切り、ということも十分に予想できます。はっきり言ってそれでは非常に不便です。でも罪に問われると考えればやむを得ない措置では。恐らくJR四国の本社も私と同じ事を考えているでしょう。



 宿毛も、奈半利も高架駅、構造上砂利敷きのセーフティーゾーン設置とはいかないでしょうから、やはりトレインキャッチャーをつけるべきでしょう。JR東か西の、移設工事で余剰となった中古で十分なので、宿毛に2線で2つ、ついでに奈半利にも1つ設置すれば、「最大限の対策」ということになるのでは?この罪の免罪には、「出来る対策は全てやった。」という実績がやはり必要なのです。



 また、喪失した2000系2両ですが、これが原因で四コチ(高知運転所)の特急車輌の遣り繰りが非常に苦しいのは明らかなのです。さらに追い打ちをかけるように2000系全車両を製造していた富士重が、鉄道から撤退ということになり、非常に厳しいなあ、とは思いました。しかし新潟トランシスだって、JR西のキハ187系(基本的には同構造の振り子気動車)を製造したので、その気になれば代車のみならず、増発分の追加車輌だって造れるでしょう。そうすれば、利便性向上のため全列車宿毛直通、という期待もかかるのです。これらは全て、土佐くろしお鉄道の決意次第なのです。



 高知県知事さんは東京生活が長く、「勤勉な労働者には、定時運行する鉄道は必要だ」ということは、ご存じと思います。土佐くろしお鉄道の経営は現状でも非常に困難でしょうが、知事さんの英断で、安全対策設備設置の支援・補助をしていただけるよう祈念して、今週の”Tetsu”を終えたいと思います。

コメント

非公開コメント

No title

四国を小さく一周(阿波池田、徳島線経由)したことのあるゆーけいです。
宿毛には特急が…立ち入ることが出来ないようになってるんですね。それはびっくりといいますか、鉄道網の退化ですね。ちょっと悲しいですね。そのうち宿毛からは宇和島に向いて線路が伸びればそんな心配も入らなくなるんでしょうけど…さすがに現実的ではない。

−−−ここから関係ないネタ−−−

ある一時期は高松駅へ良く遊びにいってました。JR四国のいいところっていうのはアナウンスが肉声なんですよね。あれ聞くと「四国だなぁ」と感じます。それとバラストをしきまくっているところもよく見ます。中には「ここ通れるんじゃないの?」って勘違いしそうな人のために「通行禁止」の看板もあったり。
さーてキハ187系もう壱編成買って2000系でも作るかなぁ。

No title

 そうなんです。時刻表で確認すれば解りますが、かつて何往復もあった宿毛行き特急も、現在2往復、このまま放置すれば次回の改正は非常に厳しいです。早急に対策をとるよう、あなたもアピールして!
 なおこれを書く原因は、高知発下り朝イチの”しまんと1号”が、昔は宿毛行きで宇和島行きバスの時刻案内までしていたのに、今年は中村で乗り換え、単行気動車になってしまったからです。せっかく完成させた線路、有効活用を望みたいですね。それでは。
カウンター
プロフィール

Seichiro

Author:Seichiro
電車ばかり撮っている中年です。甥からは「おじちゃん」と呼ばれます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR